認知症(痴呆症)になりやすい職業
職業が公務員だった人は、認知症になりやすい
認知症の人は現役の時にどんな職業についていた人が多いのか、誰もが気になるところでしょう。

実施された年月ははっきりわかりませんが、厚生省(現在の厚生労働省)が、老人性痴呆症にかかった男性患者の現役時代の職業を調査したことがあったそうです。以前は、認知症のことを痴呆症と呼んでいました。その結果、公務員だった男性が多く認知症にかかっていることがわかったそうです。実際に認知症の人を診ている医師からも、認知症の男性には元公務員が多いという指摘があるようです。
公務員という仕事は、競争心をあおられることも少なく、いわゆる親方日の丸で失業する心配もありません。世の中の動きにあまり左右されず安定しているため、色々なことに無関心でも問題なく仕事ができることが多いようです。
新しいことをやろうとしてもあまり評価されず、指示された仕事を従来のやり方で黙々とやっていくべきだと考える人が多い職業であると言えます。民間企業のようにいろいろな場面で柔軟な対応をすることには制約があり、杓子定規な「お役所仕事」と批判されることもあります。必然的に、働く意欲もあまりわかず、脳を駆使する必要もありません。
意欲には、前頭葉や側頭葉など脳の色々な部分を刺激して活性化させる働きがあるので、意欲がわかなければ脳も活性化しないため、認知症になりやすいと考えられます。
専業主婦も認知症になりやすい
では、認知症の女性の場合はどうでしょう。調査が行われたわけではありませんが、専業主婦だった人が多く認知症にかかっているようです。

現在の高齢者の女性は、若い頃に職業を持たず専業主婦だった人が多いので、当然の結果であると言えるでしょう。高齢になるほど認知症にかかる人の割合は高くなりますから、平均寿命が世界一である日本女性は認知症にかかる人が必然的に多くなります。
専業主婦は社会とのつながりがあまりなく、家族のためだけに家事や育児を行うのが仕事です。家事はどうしても毎日同じことを繰り返すことになりますし、子どもが成長して育児が終わる日が、いつかは必ずやってきます。家事や育児に工夫をこらしている専業主婦もいるようですが、脳を駆使するにしてもごく限られた範囲でのことになります。
子どもが巣立って行くと家事を行う意欲も失い、ふさぎ込む専業主婦もいるようです。家庭内が平穏であると、問題ごとの解決策を考えたりして脳を活性化させる必要もありませんから、特に認知症になりやすいとも言えます。
職業を持っていた女性だけで見ると、やはり公務員だった人が多く認知症になっているようです。
学校の教師も、教科によっては認知症になりやすい

公務員と専業主婦の他にも、学校の教師が認知症になるリスクが高いようです。
教師の中でも、人文科学系(地理・歴史・国語・英語等)の教科を教えていた人が認知症になりやすく、理科系の教科や体育・音楽・美術を教えていた人は認知症になりにくいようです。
教師という職業は脳をよく使うのですが、記憶する部分だけを多く使って偏りが生じているという見方もあるようです。毎年同じことを生徒に教えなくてはなりませんから、新しいことを創造することもなく、単調な繰り返しになりがちです。教え方を変えたり、自由な発想で教材を考案したりできればいいのですが、国が定めた教育の制度の中で授業を行う必要があるため、そうもいきません。
理科系の教師であれば、例えば実験や観察を行ったりして脳の記憶以外の部分を使うこともあります。音楽や美術の教師は芸術家でもありますから、創造的な仕事をすることで脳が活性化するようです。