認知症(痴呆症)になりやすいきっかけ
喪失感を伴う体験が、認知症のきっかけとなる
大切な人を亡くすような喪失感を伴うことは、認知症になりやすいきっかけのひとつです。

特に妻に先立たれた高齢の男性は、妻の死後3年以内に亡くなる可能性が高くなると言われるくらい、大きな喪失感に見舞われます。ずっと身の回りの世話をしてくれていた妻が亡くなると、悲しいばかりでなく日々の生活が大きく変化して途方に暮れてしまうようです。
妻に限らず友人やペットを亡くしたり、かわいがっていた孫が独立して離れて行ったりすることも、認知症になるきっかけとなることがよくあるようです。
引越、入院、施設入所、子供家族との同居が認知症のきっかけになる
環境が変化するきっかけには、自宅の新築や引越、入院、施設入所、子供家族との同居等があります。毎日生活している環境ががらりと変わってしまうと、すべてにおいて勝手が違うので戸惑ってしまいます。

新築すれば新しい気持ちのいい環境で暮らせるわけですが、高齢者の場合は新しいものに慣れることが難しく、例えば浴室やトイレ、台所等の最新式の設備や器具等も、使い方がわかりにくく混乱することもあるようです。
特に、これまでの人間関係を断ち切らざるを得ないような、全く新しい場所への引越の場合は、話し相手もなく孤立してしまうことがあります。
子供家族との同居のための引越もよくあることですが、親子ではあっても気を遣ったり、家族の中でどんな役割をすればいいのかわからず戸惑ったりして、認知症になりやすいきっかけとなってしまうことが少なくないようです。
入院の場合は、病気やけがの治療のため手術を受けたり、じっと寝ていたりすることになるので、環境の変化に加えて大きなストレスがかかり、認知症になりやすくなるようです。
定年や引退が認知症のきっかけになる

また、定年を迎えて退職すると、仕事がなくなるだけでなく職場での人間関係も断ち切らざるを得なくなりますから、心にポッカリ穴が開いたようになって認知症になりやすくなることがあるようです。
自分で会社の経営等をしている場合は定年がありませんが、子供を後継者にして引退したことをきっかけに認知症になることも少なくないようです。
過度なストレスが認知症のきっかけになる

認知症(痴呆症)になりやすい環境でお話ししたように、適度なストレスがあると認知症になりにくくなることもありますが、過度なストレスはよくありません。
例えば、家庭内に起きる大きな問題が過度のストレスをもたらし、認知症になるきっかけとなることがあります。
同居している息子や娘の失業や離婚、借金の問題、孫の非行や不登校等、家庭内に起きる可能性がある問題は多くあります。そのような問題を前向きに解決していくことができるくらいであれば、認知症とは無縁な状態でいられるのですが、高齢になって体力にも精神力にも自信がなくなってくると、過度のストレスから認知症になりやすい状態に陥ってしまうことが充分考えられます。
自信喪失やさびしさが認知症のきっかけになる
そうでなくても体力は低下していくわけですから、だんだん体の自由がきかなくなって出歩くことが難しくなったり、加齢と共に物忘れが目立ってきたことを家族に指摘されて、自信を失ってしまったりすることも出てきます。
子供や孫と同居していてもあまり会話がなく、自分の部屋で一人で過ごすしかないような状況になると、頑張ってひとり暮らしをしている時よりもさびしさを感じやすくなり、認知症になるきっかけとなってしまうこともあります。
さびしさは脳の活性化を妨げ、老化を加速してしまうと言われています。